仙台高等裁判所 昭和27年(う)612号 判決
原判示事実認定に当り原裁判所が採用している証拠のうち原審公判廷における証人川越たつ子及び同土田藤義の各供述中指摘のような供述記載のあることは所論のとおりである、しかし刑事訴訟法第三百三十五条は証拠説明につき証拠の標目を掲ぐるを以て足るとしその証拠のどの部分を採つたかを明示することを要求していないのであるから原判決に副わない部分はこれを除外し原判示に副う部分を採り、これと他の証拠とを綜合して原判示事実を認定したものと解すべきである。かかる場合に之を目して原判示事実認定に矛盾した証拠を綜合して事実を認定したものと見るのは証拠の標目にこだわりその引用の趣旨を解せざる言であるといわざるを得ない、原判決もまた叙上の趣旨で挙示の各証拠中それぞれ原判示に照応する部分のみを抽出綜合して原判示事実を認定したものと解し得られるから原判決には採証法則に違反したとか又は理由にくいちがいがあるとは認められない。